【キングダム9話あらすじ・考察】「山の民」はなぜ穆公の屋敷を守り続けた?

竹林の屋敷を見つめる河了貂 1話~100話

※漫画『キングダム』第9話「山の民」のネタバレを含みます。

きんねぇさん
四百年も前の屋敷に着いたのに、ちゃんと部屋で休めるのね。貂が不思議に思うのも分かるわ。

ネコ軍師
そこから政が、昔の秦王と山の民の話を始めるよ。建物が今も残っていること自体が、山の民の答えなんだ。

きんねぇさん
その話を聞いた貂に、信が仲間に会えるかもって言うでしょう。あの何気ない一言が気になったわ。

ネコ軍師
信にはうれしい知らせに思えたんだろうね。貂がその言葉を一人になってから思い返すところまで読むと、この回の印象が変わるよ。

第9話の要点と基本情報

きんねぇさん
三人は昌文君を待つためにここに来たのよね。どうして秦の昔話が始まるのかしら。

ネコ軍師
寝床のワラや食料を見て、三人は最近の準備について話している。そこから貂が、屋敷そのものは誰が長い間手入れしてきたのかと気づくんだ。

項目内容
話数・サブタイトル第9話「山の民」
収録単行本第2巻、5〜22ページ
主な舞台山中にある秦の穆公の隠れ避暑地
主な登場人物信、政(嬴政)、河了貂、穆公、山の民、ムタ

第8話で信たちがたどり着いたのは、昌文君との合流場所に指定された昔の秦王の避暑地です。第9話ではその建物を作った王が穆公(ぼくこう)だと分かり、屋敷を守る山の民と秦の間にかつて盟があったことが、政の口から語られます。

屋敷の由来に続いて描かれるのが、河了貂にとっての「仲間」の話です。信が山の民と会えるかもしれないと声をかけた後、貂は一人で果実を摘みながら、秦で育った自分が山の民の中に入れるのかを考えます。そこへ第7話から政たちを追ってきた刺客ムタが迫ります。

キングダム第9話「山の民」のあらすじ

昌文君のいない屋敷で、貂が夕食を作る

竹林に囲まれた楼閣に入った三人を迎える人はいません。政は自分たちが先に着いただけだと判断し、部屋で休みながら昌文君を待つように言います。信はワラの寝床に横になり、剣を手にしたまま漂の名をつぶやきます。

やがて貂に呼ばれて食卓へ行くと、湯気の立つ料理がいくつも並んでいます。作ったのは貂です。信が勢いよく食べながら食料の出どころを尋ねると、政は昌文君が前もって用意したのだろうと答えます。そこで貂は、四百年前の屋敷が今もきれいに残っていることに疑問を持ちます。

穆公は軍馬を食べた人々に酒をふるまう

政によると、穆公は人を出身や立場で分け隔てせず、敵国の奴隷にさえ敬意を払い、教えを求めたことがある王です。あるとき穆公の軍馬が、山に住む人々に殺され、食べられます。信は厳しい処罰を想像しますが、穆公は馬肉に合う酒をふるまいました。

この振る舞いが山の民の心を打ち、穆公は山の王と盟を結びます。中華の西に位置する秦から、さらに西へと広がる深い山々。平地の人々と交わることのなかった山の世界に、秦とのつながりが生まれます。政はその結果を、穆公が西に百里の地を開いたと語ります。

交流が途絶えても、山の民は屋敷を守っていた

貂は今の秦と山の民の間に交流があるとは聞いたことがないと指摘します。政の説明では、穆公が死んだ後、盟は秦の側から失われました。交流のために作った屋敷も、秦の王家では歴史を学ぶときに名前が出る伝承の場所になっています。

一方、山の民は穆公との思い出の場所を神聖な地と考え、ときどき山から下りてきて手入れを続けていました。貂が食卓で見抜いた建物のきれいさには、その積み重ねが表れていたのです。

信が語る夢と、貂が考えた「仲間」

翌日、信が水辺で木剣を振るそばで、貂は屋敷を見て前夜の話を振り返ります。信は天下の大将軍になり、穆公のように四百年先まで名を語られる人物になりたいと意気込みます。そして貂にも、ここで待っていれば仲間と会えるかもしれないと声をかけます。

夜、信と政が眠る間、貂は外で果実を摘みます。秦で育った自分が今から山の民の中に入るのは難しいと考え、政から報酬を受け取って一人で暮らすつもりだと口にします。その途中で三人で過ごすことにも思いを巡らせますが、また報酬の話に戻ります。貂が果実を摘む背後には、吹き矢を口元に当てたムタが立っていました。

屋敷で夕食をとる信、政、河了貂

キングダム第9話の考察

貂の疑問が、屋敷に流れた二つの時間を見せる

きんねぇさん
信が気にしたのは、こんなにご飯があるのはどうしてか、だったわね。

ネコ軍師
信は今夜の食卓を見ていて、貂は四百年分の手入れを想像した。その視点の違いが、昔話への入り口になっているよ。

政が昌文君の準備だろうと答える場面では、目の前の食料の説明がつきます。信はそこで寝床のワラにも合点がいきます。けれど、寝床を整えられるほど建物の状態が保たれていることには、もっと長い時間が関わっています。貂は、今夜休める理由を考えるところから、屋敷が今も使える理由に目を向けます。

この順番で読むと、政が初めから秦の歴史を教えようとしていたわけではないところがおもしろいです。三人はまず腹を満たそうとして、そこで貂が建物に残る手入れの跡を話題にする。王家に伝わる話が、そこで食べたり眠ったりする人の疑問から始まります。

昌文君の姿がまだない冒頭では、屋敷は人気のない場所に見えます。山の民がときどき訪れると分かった後に同じ外観を見返すと、誰かが住みついていなくても、人の手が入り続けてきた場所だと分かります。建物の見え方が、貂の質問一つで変わる場面です。

酒をふるまった穆公が、山の王と盟を結べた理由

きんねぇさん
信が驚くのも無理はないわ。大事な軍馬を食べられたら、どうやって償わせるかを考えそうだもの。

ネコ軍師
穆公が先にしたのは、相手の食事に合わせて酒を出すことだった。どんな相手にどう接する王か、そこで伝わるんだね。

政は軍馬の話に入る前に、穆公が立場の低い人にも敬意を示したと伝えています。その順番があるから、酒を出す行為がその場限りの思いつきとは違って見えます。政が語る穆公は、相手がどこの出身かで、敬意を払うかどうかを決めない人物でした。

ここで穆公が接した山に住む人々と、その後に盟を結んだ山の王は、場面の上では区別されています。最初は目の前の人々への振る舞いです。その話が山の民の心を打ち、やがて王同士の関係へつながる。読者は、酒を出した場面から盟を結ぶ場面までを追うことで、小さな接点がどう広がったかを見られます。

政が一里を争う戦いと、西に開いた百里を並べるのも印象的でした。領土の広さを語ると同時に、山の王と手を取り合えたことの重みを伝えているからです。反乱のただ中にいる政がその話をすることで、誰とどう手を結ぶかにも、王の力が表れるのだと感じました。

秦の王家と山の民が、それぞれに残した穆公の記憶

きんねぇさん
秦の王家も史で習うのね。同じ話を覚えていても、山の民とは覚え方が違うのかしら。

ネコ軍師
そう読めるね。政は屋敷の由来を説明できて、山の民は今もその屋敷に足を運んでいる。両方があって、ようやくこの場所の事情が見えてくるよ。

政の話では、盟が失われたきっかけは穆公の死です。王が交代しても続く関係にできたのかを考えると、せっかく結んだ盟が秦の側から途絶えたことに重みがあります。物語は、盟を結べたときの成功と、その関係を引き継げなかった結果を一緒に見せています。

それでも山の民は、屋敷を手入れすることで穆公との思い出を次の世代へ渡していました。四百年という長さは、最初に穆公に会った人々だけでは支えられません。後から生まれた人たちも場所の意味を知っていて、そこまで出向いて手を動かした。その連続が、信たちの泊まった楼閣に残っています。

政が過去を知っていることと、貂が今の建物を見て疑問を持ったことは、どちらも大切です。古い記録だけをたどれば忘れられた場所に見える屋敷に、現在も手をかける人がいる。秦の側にいる三人が山の民の行いを知る場面には、長い間離れていた相手を知り直すきっかけが描かれています。

穆公との思い出の屋敷を手入れする山の民のイメージ

信が四百年後の自分を思い描いたわけ

きんねぇさん
貂は守り続けた人たちに感動して、信は自分もそんなふうに語られたいと思うのね。

ネコ軍師
同じ屋敷を見ても、気になるところが違う。信の夢に、四百年後という時間が加わるのがこの場面のおもしろさだよ。

信はすでに天下の大将軍を目指しています。穆公の話が響いたのは、王がどれほど広い土地を開いたかに加えて、その王を覚えている人たちが今もいると聞いたからでしょう。信が大声で思い描くのは、大将軍になった瞬間よりずっと先のことです。

その前に、屋敷の寝床で信が漂を思い出す場面があります。信が漂の名前を口にするのは一人のときで、大将軍の夢を語るのは貂の前です。この二つを合わせて読むと、信の威勢のよさの奥に、一緒に夢を見た相手との時間も感じられます。第9話で信自身が二つを結びつけて説明するわけではありませんが、読み返すと立ち止まりたくなる配置でした。

貂が一人になってから「仲間」を考えた理由

きんねぇさん
信の前では短く返事をしただけなのに、貂は夜になってもその話を覚えていたのね。

ネコ軍師
信から見たら会えたらうれしい相手でも、貂には秦で育った時間がある。会えることと、そこで一緒に暮らせると思うことの間には距離があるんだね。

貂は山の民が守った屋敷に感動しています。その感動と、自分が彼らの中に迎え入れられると思えるかどうかは別の気持ちです。夜の貂は、物心がついた頃から秦で暮らしてきたことを理由に、山の民と暮らす未来を遠く感じています。この回の時点では実際に会って話していないので、私には、貂が今までの暮らしを基準に考えた答えに見えました。

その独り言で興味深いのは、貂が報酬の先にある一人暮らしを思い描きながら、昌文君が来なければ三人でここにいる時間が続くとも考えることです。直前には三人の食事を一人で作り、信の食べ方に遠慮なく口を出していました。避暑地での短い時間の中に、報酬の話だけでは拾いきれない日常がもう生まれています。

貂がどちらの暮らしを望むかに答えが出る前に、場面はムタの登場で途切れます。信の軽い声かけから、誰と一緒にいられるかという貂の思案へ移り、その途中で危険が迫る。山の民を知った回で、今そばにいる二人との関係も気になる終わり方でした。

月夜の竹林で果実を摘む河了貂

昌文君を待つ時間が、最後の一コマで違って見える

きんねぇさん
信と政は眠っていたでしょう。貂が外で一人だと気づいたら、急に心配になったわ。

ネコ軍師
夕食も素振りもできる場所だったから、なおさらだね。読者は貂より先に背後の人影を見ることになるよ。

前話まで森を抜けてきた三人は、ここで夕食をとり、寝床で休むことができます。翌日の素振りや夜の果実摘みにも、追われている間には得にくかった余裕があります。昌文君を待つ時間が伸びたことで、貂が自分のことを考える余白もできました。

その静けさは、貂の背後に人の足が見えるところで意味が変わります。続くページでムタと吹き矢が見えますが、第9話の範囲で確認できるのは構えたところまでです。ムタが屋敷の近くに来ている事実だけで、待ち合わせ場所に着いた三人にも追跡が届いたことが伝わります。どのように切り抜けるかは次話へ持ち越されます。

よくある疑問

山の民はどこに住んでいる?

政の説明では、秦よりさらに西に広がる深い山々に暮らす人々です。平地の民と交わることがなかったと語られる彼らと、四百年前の穆公は盟を結びました。この回では、山の民の暮らしの詳細よりも、秦との交流が生まれて途絶えるまでと、その後も残る屋敷に焦点が当たっています。

昌文君が屋敷を四百年間守ってきたの?

食料は昌文君が前もって用意したのだろうと、政が推測しています。屋敷そのものを長年守ってきた人々については、政は山の民だと説明します。合流のための準備と、昔から続く建物の手入れは、夕食の会話で順に出てきます。

第9話で昌文君は合流する? 貂の後ろにいるのは誰?

昌文君はこの回では合流しません。夜に貂の背後へ現れたのは、南方から来た刺客ムタです。貂が果実を摘んでいる間に背後に立ち、吹き矢を構えています。信と政が屋敷で眠る描写が先にあるので、貂が一人のときに迫られたことが分かります。

漫画の第9話とアニメの第9話は同じ内容?

漫画の第9話は単行本第2巻の「山の民」です。TVアニメ第1シリーズの第9話は「いざ咸陽へ」で、今回より後の出来事を描いています。漫画で穆公の話を読み返すときは、話数に加えてサブタイトルも確認すると見つけやすいです。

まとめ

第9話「山の民」では、貂が古い屋敷の手入れに気づいたことから、秦の穆公が山の王と盟を結んだ過去が語られます。秦との交流が途絶えた後も山の民は屋敷を守り続け、その建物は信たちが食事をして休める場所として残っていました。

信は四百年後にも語られる大将軍を思い描き、貂は自分が誰と一緒にいられるのかを考えます。二人が穆公の話から持ち帰ったものの違いを意識すると、貂が夜に果実を摘む場面もぐっと身近に感じられます。昌文君がまだ姿を見せない中、ムタが近づいたところで第9話は終わります。

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