【キングダム12話あらすじ・考察】「忠臣」昌文君はなぜ政の前で涙を流した?

川を渡る昌文君と、対岸の岩に座る赤い衣の政 1話~100話

※この記事には、漫画『キングダム』第12話までのネタバレが含まれます。

きんねぇさん
信がムタを倒して、やっとひと息つけると思ったのに。そこへ来たのが、漂を連れていった昌文君なのね

ネコ軍師
うん。政にとっては待っていた味方で、信にとっては親友の死を伝えたい相手。同じ人が現れても、二人の見え方は違うんだ

きんねぇさん
だから、政と昌文君が会えてよかったって、信はすぐには喜べないのね

ネコ軍師
その信が最後まで画面にいるから、再会のうれしさと、ここまでに失ったものの両方が残るんだよ

第12話「忠臣」の要点

きんねぇさん
ムタとの勝負も、昌文君が本当に来るのかも、前の話から気になっていたのよ

ネコ軍師
第12話はその二つがつながる回だね。信がつかんだ手応えと、昌文君が現れて変わる政の立場を順に見ていこう

秦王の嬴政(えいせい)は、異母弟・成蟜(せいきょう)らの反乱で宮廷を追われました。政の身代わりを務めた漂(ひょう)は命を落とし、親友の信(しん)は河了貂(かりょうてん)とともに政と行動しています。三人が昌文君(しょうぶんくん)との合流を目指してたどり着いたのは、山中にある穆公(ぼくこう)の避暑地。そこで、追手側の刺客ムタが立ちはだかりました。

  • 原作漫画の第12話「忠臣」。単行本2巻収録。
  • 舞台は、穆公の避暑地へ続く山中と、避暑地の竹林・川辺。
  • 信はムタの殺気に押されていたと気づき、踏み込んで斬り合いの流れを変える。
  • 吹き矢で政を狙ったムタを昌文君が斬り、政と再会する。信は昌文君に漂の死を告げる。

キングダム第12話のあらすじ

山中の追跡隊が、甲冑の兵に襲われる

政たちを追う一隊は、山中で木に巻かれた目印を見つけ、先へ進みます。途中で隊長が異変を感じますが、その場では何がいるか分からず、歩みを再開。直後、背後から槍に貫かれます。

襲ってきたのは甲冑を着た兵たちでした。追跡隊は一瞬、山民族かと疑いますが、相手の装備を見て兵だと気づきます。こんな山の中で、しかも自分たちに対抗する兵が現れるとは思っていなかった様子です。倒れた兵が近づいてきた人物に見覚えがあるような反応を見せたところで、場面は切り替わります。

信がムタに踏み込み、貂はその変化を政に聞く

竹林で剣を構えて踏み込む信と、二本の鉞を持つムタ

一方、避暑地の竹林では、信がムタと斬り合っています。前話では、信がムタの殺気に押され、政の声を受けて前へ出たところまで描かれました。第12話に入ると、信の剣とムタの鉞(まさかり)がぶつかり、信は体勢を崩さずに攻めを続けます。様子を見ていた貂は、なぜ急に信が強くなったように見えるのか、政に尋ねます。

政は、朱凶(しゅきょう)と戦ったときの信が、漂を失った怒りで我を忘れていたと振り返ります。漂との木剣の打ち合いで剣技は磨いてきたものの、本気で命を奪いに来る相手の殺気をはね返す精神力は、稽古だけでは養えなかったというのが政の見立てです。信は自分がその圧力で退いていたと気づき、今度は前に出ます。

ムタも、傷を負った信の攻めが速く、鋭くなっていると感じます。斬り合いの末に信の剣が届き、ムタは鉞を手放して倒れます。貂は勝負がついたと思い、ふらつく信を手当てしようと近づきます。

ムタが吹き矢で政を狙い、昌文君が現れる

ところがムタは体を起こし、吹き矢を口にします。ベッサ族の戦士としてこのままでは終われないと、岩場にいる政の命を狙ったのです。信はそれを見て、政に逃げるよう叫びます。

そのとき、甲冑を着た髭の武将が兵を連れて現れ、ムタを斬ります。貂は、この武将が信の親友・漂を宮廷へ連れていった昌文君だと気づきます。政にとっては待っていた援軍ですが、信にはまず、昌文君に伝えたいことがありました。

信が漂の死を告げ、昌文君は川を渡って政のもとへ

信は剣を下げたまま昌文君の前に立ち、漂が死んだことを告げます。昌文君はその場で答えず、信の横を通り、川に入って政のいる岩場へ向かいます。剣の柄を握った信は、昌文君の行く先を目で追います。

政の前まで来ると、昌文君は膝をついて深く頭を下げます。後ろの兵たちもそれに続きました。脱出の手配を引き受けながら政を危険にさらした責任は自分にあると述べた昌文君は、無事な姿を目の前にして涙を流します。政は昌文君の背に手を置き、その無事を喜ぶ言葉を返します。信は少し離れたところから二人を見ています。

キングダム第12話の考察

信はなぜ、同じ相手との斬り合いで急に強く見えたのか

きんねぇさん
ムタは同じ相手なのに、貂には信が急に別人みたいに見えたのね

ネコ軍師
竹林で見比べると、変わったのは間合いの取り方だよ。ムタを怖いと思うことと、ムタに下がらされることは別なんだ

貂の問いに答える政は、信と漂が木剣で千を超える打ち合いをしてきたことを挙げます。ここで先に「剣技は身についている」と説明するのが大事です。信は不利な状況で突然新しい技を覚えたわけではありません。ムタに命を狙われ、相手の圧に合わせて後ろへ動いていたため、持っている技術を思うように使えなかったと読めます。

初めに信の変化を説明するのは政ですが、その変化が本物だったと伝えるのは相手のムタです。傷を負わせているのに信が前へ来て、攻めも鋭くなる。その手応えを、ムタ自身が受け止めきれなくなっていきます。見ていた側と戦っていた側の両方から描くことで、信の踏み込みが斬り合いの結果にどうつながったかが分かります。

政が朱凶との戦いを引き合いに出した理由

きんねぇさん
朱凶とも本物の剣で戦っていたよね。どうして政は、今回が実質の初戦だと見るのかな

ネコ軍師
朱凶のときは漂を失った直後だったからね。今回は、信が自分で足を止め、相手の圧に向き合うところまで見えるんだ

政は、朱凶と戦ったときの信について、怒りで我を忘れ、本人もよく覚えていないだろうと話します。竹林のムタ戦では、信は相手の怖さを感じたうえで、押されている自分に気づきます。政が二つの戦いを比べたことで、前話の「退がるな」という言葉が、単に気合を入れるための声かけではなかったと分かります。

この場面で政は、信の代わりに剣を振るうのではなく、信が自分で使える武器を言葉にしています。貂から見れば危険な賭けですが、政から見れば、信の稽古の蓄積を知ったうえでの判断でもあります。ただし、信がムタを斬ったあとには政自身が狙われます。信を信じた判断に手応えがあっても、三人の安全がそれで保証されるわけではありません。そのことを、直後の吹き矢が示しています。

ムタの最後の狙いは、信との勝負から政の命へ戻る

きんねぇさん
貂が手当てをしようと動いたところで、ムタが体を起こすのが怖かったわ

ネコ軍師
鉞が落ちて、斬り合いには決着がついたように見える。そのあとムタが狙うのは、目の前の信じゃなくて岩場の政なんだ

信に斬られたムタは、ベッサ族の戦士として引き下がれないと語ります。吹き矢を手に取ったあとの狙いは政です。ここでは信との勝負に負けかけたことと、刺客としてまだ政を狙えることが、ムタの中で別々に残っています。

貂は傷ついた信に駆け寄り、信は政に逃げろと叫びます。二人が別の人を気にかけて動くため、目まぐるしい場面でも誰がどこを見ているかが追いやすいところです。昌文君はその切迫した瞬間に現れます。後で礼を尽くす姿を見る前に、まず政を守るために剣を振るったところが描かれるので、彼がどちらの側に立つのかは行動で分かります。

なぜ追跡隊の場面から始まるのか

きんねぇさん
最初に追跡隊を襲った兵たちと、後で昌文君と来た兵たちは、どうつながるの?

ネコ軍師
冒頭では武将の顔が伏せられているよ。あとで昌文君が兵を率いて現れるから、二つの場面を結びつけて読めるんだ

追跡隊が襲われる場面で分かるのは、相手が甲冑を着ていたことと、倒れた兵が近づいた人物を知っているらしいことまでです。読者には顔が見えません。前話で宮廷側に昌文君の首とされるものが届いた話が出たあとだけに、ここで名前をすぐ明かさず、山中に政を守る側の兵がいるかもしれないと示す順序が効いています。

そのあと竹林に昌文君が兵を従えて現れると、冒頭の武装した一団が誰の側だったか、読者は手がかりを得ます。穆公の避暑地では三人が追い詰められていましたが、視点を山全体に広げると、追跡隊にも見えていなかった動きがあった。そう読めるからこそ、昌文君の登場が唐突な助け舟に見えません。

竹林の川辺で、剣を下げて昌文君に漂の死を告げる信

昌文君はなぜ、漂の話に答える前に政のもとへ行ったのか

きんねぇさん
信は、漂を連れていった人にやっと会えたのよね。それで通り過ぎられたら、剣の柄を握りたくもなるわ

ネコ軍師
信が言葉を待っている横を通り、昌文君は川まで渡る。そのあと何をするかで、あの時点で彼が急いだ理由が見えてくるね

昌文君が最初にしたのは、政の前にひざまずいて、脱出の責任を引き受けることでした。信に答えなかった理由を本人がこの場で説明するわけではありませんが、危険の続いた脱出のあと、まず王の無事を自分の目で確かめ、責任を伝えることを優先したと読めます。川へ足を入れてためらわずに進む姿からも、政のところへ行く意思が伝わります。

一方、信が昌文君に突きつけたのは、脱出が成功したかどうかとは別の、漂が帰ってこないという事実です。身代わりが政を逃がすために必要だったと説明されても、信には漂との日々があります。昌文君が政に負う責任を自分から口にしたからといって、信が受けた喪失に答えが出たわけではありません。昌文君に返事をさせず場面を進めたことで、二人の間にはまだ言葉にできていないものが残ります。

「忠臣」の涙に、政はどう応えたか

きんねぇさん
ムタを斬ったときの顔からは、あんなふうに涙を流すなんて想像できなかったわ

ネコ軍師
同じ相手を守ろうとする気持ちが、竹林では剣に、再会した岩場では涙に表れているんだね

昌文君は政に会うと、助けたことを誇るより先に、脱出が予定どおりいかなかった責任を語ります。それから、無事に会えたことに涙を流します。役目を果たす武将の姿と、目の前の人が生きていてほっとした姿が、短い場面に重なっています。

それを受けた政は、昌文君の背に手を置いて、相手の無事も喜びます。昌文君が王に向けた気遣いを、政が一人の臣下に返すような仕草です。言葉が短いぶん、先に動いた手が印象に残ります。そして最後には信の姿が置かれます。政と昌文君が取り戻したもののそばに、信が取り戻せないものがある。私は、この二つを同じ岩場に残して終わるところに、第12話の余韻を感じました。

岩場でひざまずく昌文君の背に手を添える政

キングダム第12話のよくある疑問

ムタにとどめを刺したのは誰?

昌文君です。信は斬り合いでムタに深手を負わせますが、ムタは体を起こし、吹き矢で政を狙います。そこに昌文君が現れ、ムタを斬ります。

昌文君は死んだと思われていたの?

第11話では、咸陽宮で王騎から届けられた昌文君の首とされるものが話題になります。傷がひどく、肆氏(しし)には本人かどうか見分けられませんでした。第12話では昌文君本人が政の前に現れるので、少なくとも昌文君が生きていることが分かります。この時点で首の正体や、その件に関わる人物の意図まで決めつける必要はありません。

「忠臣」は誰を指している?

この回の描写からは、政を守り、脱出の責任を引き受け、その無事を涙で喜んだ昌文君を指すと読むのが自然です。とくに、王としての政に礼を尽くす場面と、生きて会えたことを喜ぶ場面が続いている点に、題名の意味が表れています。

アニメ第1シリーズの第12話と同じ内容?

この記事が扱うのは、原作漫画の第12話「忠臣」です。アニメ第1シリーズの第12話は「究極の一刀」で、原作とアニメでは話数の区切りが異なります。

まとめ

第12話では、信がムタの殺気に押されていたと気づき、漂と磨いた剣を実戦で出せるようになります。信に斬られたムタはなお政を狙いますが、昌文君が兵とともに現れ、その一撃を止めました。

政にとって昌文君の生還は、追われるなかで味方と合流できた大きな一歩です。同じ再会の場で、信は漂を失ったことを昌文君に告げています。政が昌文君の背に手を置く場面を読むとき、少し離れたところにいる信にも目を向けると、この回が次へ持ち越したものが見えてきます。

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