【キングダム3話あらすじ・考察】漂はなぜ身代わりに?信が政にぶつけた怒りの意味

1話~100話

※漫画『キングダム』第3話「身代わり」のネタバレを含みます。

きんねぇさん
信は、亡くなった友だちの漂から地図を預かって、黒卑村まで来たのよね。そこで漂と同じ顔の子が待っていたなんて、びっくりするわ。

ネコ軍師
うん。その少年は秦の王、政だったんだ。そこへ刺客が現れて、漂がどうして王宮に呼ばれたのかも分かってくるよ。

きんねぇさん
王宮へ行ったときは、漂が夢に一歩近づいたと思ったの。まさか、政の身代わりにされていたなんてね。

ネコ軍師
だから信の怒りは、漂を斬った刺客だけでなく、政にも向かうんだ。この回は、信がその理由を政にぶつけるところまで追ってみよう。

キングダム第3話「身代わり」の要点・基本情報

単行本1巻に収録されている漫画の第3話です。黒卑村の小屋にいた少年は秦王・嬴政(えいせい)。亡くなった漂は、政と顔がよく似ていたために王の身代わりとなり、刺客の朱凶(しゅきょう)に襲われていました。

この回では、信が漂の死の経緯を知り、朱凶に剣を向けます。いったん打ち倒された信がもう一度立つまでに、政へどんな言葉を返すか。そして戦いの途中に、漂が政に託していた言葉がどう差し込まれるかが見どころです。

キングダム第3話のあらすじ

黒卑村の小屋で、漂と同じ顔の少年が政と名乗る

信と漂は、下僕の身から大将軍を目指して剣の稽古を続けてきた友だちです。先に王宮へ行った漂は、やがて深手を負って信のもとへ戻り、地図を託して息を引き取ります。信はその地図を頼りに、夜の黒卑村までやって来ました。小屋の灯りのそばに座っていた少年に、思わず漂の名を呼びます。けれど、少年は政と名乗ります。しかも、こちらは相手のことを知らないのに、政は信の名前を知っていました。

小屋の灯明のそばに座る政と、向かい合う信
小屋の灯明のそばに座る政と、向かい合う信(イメージ)

そのころ村の外では、信に倒された無法者たちの前を、顔を布で覆った人物が通りかかります。大きな武器を背負い、立ちふさがった男を斬るその姿に、残った者たちは刺客一族の朱凶だと気づきます。小屋に戻った場面では、信が政を問いただそうとしたところに、外から大きな刃が飛び込みます。壁を切られ、小屋は崩れ落ちます。

朱凶の言葉で、漂が王の身代わりだったと分かる

きんねぇさん
政のことも、漂を襲った人のことも、信は一度に知るのね。

ネコ軍師
うん。政が説明を始める前に朱凶が来たから、信は刺客が口にした手がかりを、自分で結びつけることになるんだ。

崩れた小屋の前で朱凶が呼んだのは、秦王・嬴政の名です。朱凶は、以前斬った少年が替え玉だったと明かします。致命傷を負わせても逃げられ、その少年の足取りを追ってここに着いたというのです。

朱凶の話を聞いて信は、王宮が漂を呼んだ理由と、漂が深手を負って戻ってきた理由をつなぎ合わせます。政の弟が反乱を起こすと分かっていたから、政にそっくりな漂を王の身代わりにした。そして朱凶は、漂を王だと思って斬った。信が政に問い詰めると、政は漂を身代わりにしたことを認めます。信は政にも怒りを向けますが、目の前には漂を斬り、今も政を狙う朱凶がいます。信はその朱凶に斬りかかります。

一度は倒された信が、政に怒りをぶつけて立ち上がる

信と朱凶が剣を交える様子を、前話から黒卑村で信を見ていた河了貂(かりょうてん)が、草むらからうかがっています。朱凶は打ち合いながら、信の力や速さ、技を漂と比べます。伸びしろも感じ取りますが、今の信なら倒せると見て大剣で押し込み、蹴りで小屋の残骸へ吹き飛ばします。

小屋の残骸に倒れた信は、稽古で互角だった漂でさえ朱凶に敗れたことを思い、自分に勝てるのかとひるみます。その信に、政は漂の無念に意識を向けるよう声をかけます。信は政が漂の名を口にすることに反発し、剣を手に立ちます。下僕の自分たちには誰が王になるかなど関係がないのに、どうして漂が巻き込まれなければならなかったのか。信は、これから漂が手にできたはずの暮らしを思い浮かべ、失った命の重さを政にぶつけます。

漂の回想が挟まり、信の剣が朱凶に届く

再び斬り込む信の攻撃は、朱凶が速さと重さの変化を感じるほどです。ここで時間がさかのぼり、漂がまだ王宮にいたころの場面になります。漂は政に、信とは稽古で互角だったが、自分が勝てないほどの相手にも信なら勝てると話していました。

場面は夜の黒卑村に戻ります。信は朱凶の懐に入り、剣を届かせます。朱凶がなおも反撃する場面で、漂が、自分が倒れたら信を頼るよう政に伝えていたことが分かります。月を背に跳んだ信が朱凶の大剣を砕き、斬り込んだところで第3話は終わります。

月明かりの下、朱凶と向き合う信
月明かりの下、朱凶と向き合う信(イメージ)

キングダム第3話の考察

なぜ漂だったのか。同じ顔が第1話の別れを読み変える

きんねぇさん
第1話で漂だけが声をかけられたとき、先に夢へ近づけたんだと思ったわ。

ネコ軍師
だから小屋で政の顔を見ると、あの別れの意味まで変わるんだ。読者も信と一緒に、声がかかった理由を考え直すことになるね。

漂が身代わりに選ばれた理由は、秦王の政と瓜二つだったからです。第1話で、剣の稽古をしていた二人のうち漂だけが王宮へ行くことになったとき、私には、一緒に夢を追う二人のうち、片方に先に機会が巡ってきたように見えました。第3話を読むと、そもそも王宮側が漂に見ていたものは何だったのか、あの場面に戻って考えたくなります。

そこで効いてくるのが、第2話の終わりに信が見る顔です。信にとっては、つい先ほど亡くした友の面影。政を狙う朱凶にとっては、一度見誤った標的の顔です。同じ顔を見ているのに、信と朱凶はまるで違う人を思い浮かべます。王宮側には身代わりを成り立たせる条件だった顔が、信にとっては漂との日々を思い出させる。その隔たりが、仕組みが分かった瞬間のつらさを大きくしているように感じます。

そして、漂が最期に信へ託した地図があったからこそ、信は真相を自分の耳で聞けました。地図は信を小屋へ導く手がかりであると同時に、王宮で起きたことを知る人物へ、信を直接引き合わせます。政がなぜ信の名を知っていたのかという疑問にも、終盤の回想で答えが見えてきます。

信はなぜ立ち上がったのか。政に返した言葉に注目

きんねぇさん
朱凶に吹き飛ばされて、信は崩れた小屋の残骸に倒れたのよね。そこへ政が、漂の無念を晴らすことだけを考えろと声をかける。どうして信は、立ち上がるなり政に怒ったのかしら?

ネコ軍師
政が漂を身代わりにしたと聞いたばかりだったからね。その政が漂の名を口にしたことで、信は、友だちを王位争いに巻き込まれた怒りを政にぶつけるんだ。

信が政にぶつけた怒りは、漂を斬った朱凶への怒りとは別に、どうして漂が王位争いに巻き込まれなければならなかったのか、という問いから来ています。政が背負う王位争いは、秦という国を揺るがす問題です。一方、信の目に映るのは、剣で身を立てようとしていた漂が、当人たちの暮らしとは遠いところの争いで命を落としたこと。政が口にした漂の無念を、信は自分たちの暮らしの言葉で語り直します。

ここで信が思い浮かべる未来には、戦で手柄を立てることに加えて、立派な家に住んだり、お腹いっぱい食べたりすることまで入っています。大将軍という大きな夢と、毎日の小さな望みが一続きだったのだと思うと、漂が失った時間を想像しやすくなります。信の言葉が途中で続かなくなるところにも、こうなっていたかもしれない未来を語る苦しさがにじみます。

信がなぜ王位争いにそこまで強い言葉を向けたのかは、政と信がそれぞれ何を失う場面だったかをたどると見えてきます。政にとって、弟の反乱は王位と自分の命を脅かすものです。小屋の外では、朱凶が秦王の名を呼んで迫っています。信からすれば、王が誰であっても、昨日までの暮らしが急に良くなるわけではありません。ところが今回は、その争いが漂を王宮へ連れていき、二人で剣の腕を磨いた時間の先まで奪ってしまった。ここに、同じ争いを見ている二人の距離が表れています。

信が漂の将来を話すところで、私は第1話の稽古を思い出しました。あの頃は、何度でも剣を交えて、次はどう勝つかを考えられた二人です。信が思い描く家や食事には、腕を磨いて今の暮らしから抜け出した先を、漂と分かち合えるはずだったという思いも感じます。勝負の直前にそんな話をするから、読者も漂を、王と同じ顔をした少年としてだけでなく、信と先のことを語り合った友として思い返せるのだと思います。

最初の戦いでは、朱凶は信を漂と比べて見ていました。倒された信も、漂が勝てなかった相手だから自分にも無理だと考えます。相手も自分も、漂との比較で信の力を測っていたわけです。政への叫びを経たあとで、朱凶が信の剣の変化を感じる。そこには、信が勝てる見込みを計算する段階から、目の前の相手へもう一歩踏み込む段階に移ったような手触りがあります。

漂が信に託したのは、仇討ちだけだったのか

きんねぇさん
漂が政に信を頼るよう言っていたと知ると、あの地図の渡し方も違って見えるわ。

ネコ軍師
そうだね。信が政のもとへ来た理由と、政が信の名を知っていた理由が、ここでようやくつながるんだ。

漂が政に残したのは、もし自分が倒れたら信を頼ってほしいという言葉です。第1話では地図を受け取った信の側からしか、その頼みの行き先が見えませんでした。第3話で政の側にも漂の言葉が残っていたと分かると、漂は信を送り出すだけでなく、政にも信を紹介していたのだと読み取れます。互いに初対面の二人のあいだには、すでに漂の言葉が渡っていたのです。

王宮の室内で政に信の強さを話す漂の回想イメージ
王宮で、政に信のことを話す漂(回想のイメージ)

漂が信の力を語る場面が、朱凶との戦いの途中に置かれているのも印象的です。倒れた信は、互角の漂が負けたという過去から、次に起こることを考えます。漂の回想は、稽古が互角だったという同じ事実から、信には自分が届かなかった先へ進む力があると見る。この二つの見方が並ぶから、月を背に信が跳ぶ場面には、漂が見ていた先へ信が届く瞬間という意味も重なります。

私は、政に信を頼ってほしいと伝えた場面に、漂が自分の先のことを考えていた手がかりを感じます。王宮側にとって漂は身代わりでしたが、漂自身も、いざというとき誰に道をつなぐかを考えていた。回想があることで、題名にある役目の向こうに、最後まで自分で人を選び、言葉を残した漂が見えてきます。

キングダム第3話のよくある疑問

政はどうして信の名前を知っていた?

王宮で漂から信のことを聞いていました。終盤の回想で、漂が二人の稽古について話し、万一のときには信を頼るよう政に伝えています。

信は第3話で政を許した?

許したと分かる描写はありません。信は朱凶に立ち向かう一方、漂を争いに巻き込んだことを政に直接ぶつけています。

朱凶との戦いはどこまで描かれる?

信が朱凶の大剣を砕き、斬り込むところまでです。その直後のやり取りは第4話に続きます。

まとめ|身代わりの真相と、漂が二人に残したもの

第3話で、漂が王宮へ呼ばれた理由と、地図が信を政のもとへ導いた意味がつながります。朱凶への一撃を読むとき、私はその直前の、信が漂のこれからを語ろうとする場面に戻りたくなります。友の未来をそこまで具体的に思い描ける信と、そんな信を政に頼ってほしいと言った漂。二人がお互いの何を見ていたかが分かると、信と政の出会いにも、漂が自分でつないだ先が見えてきます。

前話|キングダム第2話「地図」のあらすじ・考察

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