【キングダム15話あらすじ・考察】「呂丞相」呂不韋はなぜ戻らない?政が山の王を頼る理由

1話~100話

※この記事には、漫画『キングダム』第15話までのネタバレが含まれます。

きんねぇさん
呂軍が戻ってくれば助かると思っていたのに、貂が飛び込んできて話がひっくり返ったね。

ネコ軍師
うん。壁は軍がいつ帰れるかを考えていたけれど、政は呂不韋に帰る理由があるかを見ていたんだ。

きんねぇさん
しかも政は、助けが来ないと分かっているのに、早く王都へ戻ると言うんだよね。

ネコ軍師
待てば安全に思えるけれど、待つ間にも王都の情勢は動く。その違いが、最後の「山の王」につながるよ。

キングダム第15話「呂丞相」の要点

きんねぇさん
貂が吹き矢を拾うところから、まさか秦の内戦の話になるとは思わなかったよ。

ネコ軍師
竹林で貂が聞いた話と、室内で壁が立てた作戦を並べて読むと、どこで前提が崩れたか分かりやすいよ。

漫画版の第15話「呂丞相」は単行本第2巻に収録されています。主な舞台は政たちが身を寄せる山中の屋敷と、呂不韋(りょふい)が遠征中の魏・少梁(しょうりょう)です。秦王の嬴政(えいせい)は、異母弟の成蟜(せいきょう)と重臣の竭氏(けつし)が起こした反乱で王都・咸陽(かんよう)を追われています。前話で信は将軍への道を政に尋ね、王都を取り戻す戦いに加わる意志を見せました。今話では、その戦いをどう始めるかが問題になります。

・河了貂(かりょうてん)は、生きていたムタからしびれ矢と呂軍についての忠告を得る。

・壁(へき)は呂軍を待つ案を出すが、呂不韋は少梁で反乱の報せを退ける。

・政は、呂氏と竭氏がぶつかる前に咸陽へ戻るため、山の王に会いに行くと決める。

キングダム第15話のあらすじ

貂が吹き矢を拾い、ムタの忠告を聞く

貂は地面に落ちていた吹き矢の筒を見つけます。力の弱い自分でも使えそうな武器だと考え、矢を探して、先の戦いで倒れたムタが運ばれていた場所へ向かいます。草の中で動かないムタを死んでいると思い、恐る恐る手を伸ばす貂。ところが、本人に声をかけられて飛び上がります。

ムタは、生きていると知られればとどめを刺されると考え、騒がず放っておいてほしいと頼みます。貂はその代わりに毒矢を求めますが、ムタが渡すのは毒矢ではなく、相手をしびれさせる矢です。貂は自分に合った武器が手に入って喜びます。

続けてムタは、若い王について行ってもいいことはないと忠告します。貂は、今は遠征中でも政には呂氏という強い後ろ盾がいると返します。するとムタは、その見方が誤りだと言い切ります。貂がここへ来た目的は矢を手に入れることでしたが、屋敷へ持ち帰るもっと大きなものが、このとき生まれます。

竹林で、草に横たわるムタの声に驚く河了貂

壁は二十万の呂軍を待つよう提案する

屋敷では、壁が政や昌文君(しょうぶんくん)の前で、王騎軍との戦いで自分たちの兵力が大きく失われたと説明します。手勢で反乱軍のいる王都に向かうより、魏へ遠征している呂丞相の帰国を待つ方がよい、というのが壁の案です。信は、呂軍に先に反乱を鎮められれば自分の手柄を立てられないと反発し、いつ戻るかも分からない軍を待つことに不満をぶつけます。

壁によると、呂軍のいる魏北西部の少梁からは、軍馬で十日ほどの道のり。すでに早馬を何頭も出しているため、二十万の軍勢が咸陽へ向かっているはずだと考えます。二十万という数に信も驚きますが、そこへ貂が駆け込み、政が殺されるまで呂軍は戻らないという話は本当かと尋ねます。壁と信が驚く一方、昌文君は政に視線を向け、政はすぐには口を開きません。

少梁の呂不韋は早馬の報せを退ける

場面は魏・少梁へ移ります。少梁を包囲する呂軍の陣で、兵が咸陽からまた早馬が来たと報告します。知らせの内容は、竭氏が反乱を起こしたというもの。しかし呂不韋は、包囲を解かせようとする魏の策だと片づけ、伝令の首をはねるよう命じます。この場面で描かれるのは呂不韋が命令を出すところまでです。

屋敷に場面が戻ると、壁は政を失えば呂氏こそ困るはずだと訴えます。昌文君は呂丞相の恐ろしさをまだ分かっていないと壁に告げ、信が説明を求めると、政は呂氏の狙いを語り始めます。政の見立てでは、呂氏は政が殺され、成蟜が王になるのを待っています。その後で成蟜と竭氏の非道を訴えて咸陽に攻め入り、戦火で王族がいなくなれば、人々が次の王に推すのは誰か。政にそう問われ、壁は呂氏だと答えます。

政は王都への帰還を急ぎ、山の王に望みをつなぐ

呂氏も後ろ盾にならないと知った信は怒り、政が思っていた以上に追い詰められていたと気づきます。昌文君に打つ手を求めますが、今の兵力では王都に近づくことも難しく、両勢力の動きを見て再起の機会を待つしかない、と言われます。

政はその案を退け、一日も早く帰る意志を示します。政が生きていても、竭氏が呂氏との全面戦争を始められるほど準備を整えれば、成蟜を即位させるだろうと見ているからです。その前に自ら玉座に戻り、王都を正常に戻したい。とはいえ、昌文君は、呂氏にも竭氏にもつかず政に加勢できる軍勢など今の秦にはいないと考えます。

行き詰まった会議の最中、貂は壁に何者かと聞かれ、吹き矢を手に山の民だと名乗ります。信がその筒をムタのものだと指摘し、昌文君が見せるよう求めるやり取りの中で、昌文君はどちらの陣営にも属さない大軍勢が一つあると思い当たります。政もこの場所に来たときから同じことを考えていました。信は四百年も前のことを気にしますが、政は可能性が低いと承知で、山の王に会いに行くと決めます。

第15話の考察|呂不韋はなぜ戻らず、政はなぜ急いだ?

壁の見込みが外れたのは、距離ではなく呂不韋の利害だった

きんねぇさん
壁の案って、少ない兵で突っ込むよりずっと現実的に聞こえたけどな。

ネコ軍師
兵力と道のりの説明には筋が通っているよ。ただ、呂不韋が政を守るために軍を動かす、という前提があったんだ。

壁が挙げた十日ほどの行程と二十万の兵は、待つ理由として具体的です。ただし二十万は壁が見込む援軍の規模で、この時点で軍勢が帰途に就いたと確認されたわけではありません。貂の問いは、帰還までの日数ではなく、そもそも呂軍が帰る気なのかを問題にします。直後に少梁の場面が置かれるので、読者は早馬が届いても壁の期待どおりに扱われないことを知ります。

呂不韋は報せを魏の策だと説明しますが、その言葉が本心かどうかは第15話では明言されません。一方、政の説明では、早く鎮圧すれば現王を守ることになり、遅らせれば王を倒した勢力を討つ名目が生まれます。同じ大軍でも、いつ動かすかで戦後の立場が変わるという読みです。王族が戦火でいなくなるというくだりも、実際に起きた出来事ではなく、政が示した最悪の展開です。

魏の少梁を包囲する陣を高台から見下ろす呂不韋

政が待てないのは、成蟜の即位が自分の死を待たないから

きんねぇさん
呂不韋は政が殺されるのを待つって話だったのに、政が生きていても成蟜は王になるの?

ネコ軍師
そこは二人の動く条件を分けると分かるよ。政は、竭氏には竭氏の準備があると考えているんだ。

政が会議で語る二つの筋書きには、違う当事者がいます。呂氏については、政の死と成蟜の即位を経てから、反乱を討つ側として王都に乗り込むのではないかと読みます。一方、竭氏については、呂氏と正面から戦う準備さえ整えば、政の生死にかかわらず成蟜を玉座に就かせると見ています。政が身を隠して生き延びるだけでは、後者の動きは止まりません。

昌文君の案は、戦える手勢が少ない現状を踏まえて機会を待つものです。政が優先するのは、その機会を待つうちに秦が二つに割れるのを防ぐこと。玉座を奪い返すだけなら好機を待つ発想もあり得ますが、内戦そのものを防ごうとすれば、竭氏が準備を終える前に帰る必要があります。政の焦りが、怖さで判断を誤ったようには見えないのは、帰る理由を自分の身の安全より広いところに置いているからです。

信の怒りは、手柄の話から政の置かれた境遇へ移る

きんねぇさん
最初は手柄がほしいって騒いでいた信が、途中から政のために怒っているように見えたよ。

ネコ軍師
壁への反発と、呂氏の狙いを聞いた後の問いかけを比べると、気にかけているものの変化が出ているね。

信は会議の初め、呂軍が先に反乱を鎮めれば手柄が立てられないと反発します。ところが政が呂氏の狙いを語ると、信の言葉は、後ろ盾のはずの相手まで頼れない政の境遇に向きます。信は、王自ら山を逃げ回っていた時点で普通ではないと感じていたものの、実際には予想以上に厳しい状況だったと振り返ります。

それから昌文君に打開策を尋ねる信は、単に自分の出番を求めた冒頭とは違って見えます。将軍を目指す気持ちが消えたわけではありません。それでも、いま必要なのは手柄を挙げる順番の相談ではなく、政と自分たちがどう生き延び、王都へ戻るかを考えることです。手柄を口にする率直さと、目の前の相手の苦境に怒る率直さが、同じ話に出てくるところに信らしさがあります。

山の王が候補に挙がった理由は、兵の数と立場にある

きんねぇさん
昌文君は、助けてくれる軍はいないと言った直後に思い出すんだね。

ネコ軍師
秦の中で探していたところへ、貂が山の民と名乗る。そこで、探す範囲そのものが変わるんだ。

会議の最後に問題になるのは、単に戦える者が何人いるかではありません。反乱側の竭氏にも、政を助ける見込みの薄い呂氏にも属さず、独自に動ける勢力かどうかが条件です。貂と吹き矢をめぐるやり取りで昌文君が見つけたのは、その条件を満たしうる一つの候補でした。吹き矢そのものが援軍を呼ぶ道具だと、この話で示されるわけではありません。場面の流れからは、貂の名乗りで秦の内側だけを見ていた発想が切り替わった、と読めます。

政は屋敷に来たときから考えていたと明かします。昌文君のひらめきで初めて政が作戦を思いついたわけではなく、政が温めていた案に会議の結論が追いつく形です。ただし、政自身が見込みは低いと認め、信も四百年前のことに触れています。味方の存在に気づくことと、実際に協力を得ることの間には、まだ大きな隔たりがあります。その危うさを承知で会いに行くと決めたところが、第15話の引きです。

山中の屋敷で信や河了貂に話す政

第15話「呂丞相」のよくある質問

呂丞相と呂氏は同じ人物?

この話で呂丞相と呼ばれるのは秦の丞相・呂不韋です。「呂氏」は会話の文脈によって呂不韋本人やその勢力を指し、「呂軍」は少梁にいる呂不韋の軍を指します。壁はその軍が政の援軍になると見込みますが、政はその前提を疑っています。

ムタは第15話で死んだ? 貂がもらったのは毒矢?

貂が近づいたとき、ムタはまだ生きています。本人は自分の死が近いと話しますが、第15話で死亡は確認されません。貂が望んだのは毒矢で、ムタが実際に渡したのはしびれ矢です。吹き矢の筒は先に貂自身が拾っています。

呂不韋は反乱を起こした本人?

この話で咸陽から伝えられるのは竭氏の反乱です。呂不韋は魏の少梁に遠征中で、報せを退けて伝令の処刑を命じます。政は呂不韋が反乱後の混乱を利用しようとしていると読みますが、反乱を起こした側と、それを利用すると見られている側は分けて考えると理解しやすくなります。

第15話で政は山の王と会う?

まだ会っていません。第15話は、政が山の王に会いに行くと決めたところまでです。山の民が加勢を承諾した場面も、この話にはありません。

まとめ|政は援軍を待つ案を捨て、山の王に会いに行く

第15話「呂丞相」では、貂がムタから持ち帰った情報をきっかけに、政たちは呂軍を待つ案を見直します。少梁で呂不韋が反乱の報せを退け、屋敷では政がその先に起こりうる権力争いを語ります。壁が考えていたのは兵力を補う方法、政が考えていたのは秦を二分する戦いが始まる前に帰る方法でした。

自分たちだけでは咸陽に近づく力がなく、秦の大勢力をそのまま頼ることもできない。そこで最後に浮上するのが、両陣営の外にいる山の王です。冒頭で貂が自分に使える武器を見つけたように、政たちも最後に、これまで頼ってきた枠の外に可能性を見つけます。まだ援軍は手に入っていませんが、誰に会いに行くかが定まったことで、王都奪還へ向けた次の一歩が見えてきます。

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